ある決められたルールにしたがって機械的に取引することをシステム売買と言います。裁量トレードと違い人の主観や感情というものを排除してトレードを続けることが特徴です。機械に売買プログラム設定して自動売買をすることも可能です。
システムトレードにも様々なものがあります。取引している証券会社などで作られた売買ルールを選んで取引するもの、あらかじめ用意されている売買ルールを売買システムに設定して取引するもの、独自のアルゴリズムをプログラミングして売買システムを作りそれを稼働して取引するものなどもあります。最近増えているリピート系注文も一種の自動売買になるかと思います。
IDECOなどの積立投資も自動で取引をしますので自動売買のようなものですが、決済やスイッチングには人の裁量が入りますので完全なものではありません。
システムトレードは売買を自動化して継続的に収益を上げるのが目的となります。
システムトレードをする場合、採用する取引ルールのバックデータを検証して、その結果を評価するのですが、一般的に次のような指標を確認します。
①プロフィットファクター
総利益÷総損失
1以上で収益がプラスになります
②ペイオフレシオ
平均利益÷平均損失
③勝率
勝ちトレード数÷総トレード数
④最大ドローダウン
期間の最大損失額
①のプロフィットファクターは1以上であることは言うまでもありません。②ペイオフレシオや③勝率はパフォーマンスが良いことに越したことはないですが、数値のパフォーマンスが極端に良いものは要注意です。カーブフィッテングと言いますが、ある期間でパフォーマンスがよくなるように売買条件が設定されている場合があります。④最大ドローダウンは小さいほうが収益が安定しています。損益曲線もきれいな右肩上がりになっていることも確認しておきます。
このようなシステムを採用して運用したとしても、実際に運用した場合は思った程パフォーマンスが出なかったりマイナスになったりすることもよくあります。証券会社などが用意している売買ルールを選択する方法ではそのストラテジー(売買ルール)のパフォーマンスを確認すると思いますが、パフォーマンスの良いストラテジーが今後も継続してよい成績を維持していくことは難しいと思います。それはあくまでも過去のパフォーマンスであってその時点で良い成績をあげているストラテジーがランキング上位にあるだけで、優秀なストラテジーなのかどうかは疑問に感じます。
では優秀なストラテジーとはどのようなものでしょうか、それはトレードする期間、銘柄、環境が変わってもパフォーマンスの成績がほとんど変わらないことにつきます。そのようなシステム売買をみつけるのは大変困難でしょう。そもそも相場の世界はゼロサムゲームである以上機械的な取引を続けていればいずれ収支はプラマイゼロに収束していきます。ではどのようにしてその中から優位性を見つけ出し収益化するのかというと、それは確率論や統計学の絶対法則を味方につけることです。具体的にはマーケットのアノマリーを見つけるところにあります。例えば相場が動かないときや動き出した時の大衆の心理は協調されることが多いので、儲けたい損をしたくないという感情が相場を動かします。特に損失が膨らみこの水準ではロスカットするしかないという状況に大多数がなったとき相場は大きく動く傾向があります。結果として相場が大きく動いたときにロスカット注文が入るという因果の関係があると言えます。このことが統計学的にどの程度因果関係あるかを検証してみればよいです。
統計学には数多くの絶対法則がありますが、システム売買においても次の3つの法則は重要です。それは大数の法則、中心極限定理、逆正弦定理でありこれらの法則を理解し味方につけるような売買を実践すれば成功する確率が高くなると思います。詳しい説明はここでは割愛しますが、ざっくりな話をしますとまず大数の法則は値の収束を意味します。ある事象の試行回数を大きくすると理論上のある値に近づくという法則になります。理論上の勝率60%のトレードルールがあるとして、それを繰り返した場合、そのトレードを10回して丁度6回だけ勝つことは起こりにくいと思いますが、トレードを1000回程度繰り返せば勝率が60%の確立に近づいていくことが感覚的にわかると思います。中心極限定理は確立分布の収束を意味します。試行のサンプル数が多いほどその平均の確立分布が正規分布に従うというものです。例えばある銘柄の値動きの幅についてデータのサンプルをいくつか集めてそれぞれの平均と標準偏差を求めます。サンプル数が多くなるにつれ値幅平均の確立分布は正規分布に近似していきます。逆正弦定理は勝率50%のゲームをやり続けた場合、勝ち越しになる期間と負け越しになる期間が同じになる確立はゼロに近く、勝ち越すか負け越すかどちらかの期間が長くなる確立の方が大きくなるという法則です。トレードで勝率50%のシステムトレードを続けた場合においても連続で勝ち続けたり、負け続けたりすることがよくありますが、それは確立の揺らぎであり極めて自然なことです。
株価などの動きはランダムウォーク理論がモデルだとも言われています。ランダムウォークとは不規則な動きの連続過程のことで株価が上がったり下がったりすることはランダムに起きる事象として仮定します。下記は50%の確率でランダムに上がったり下がったりする過程をグラフにしたものですが、基の地点をゼロとするとその地点を行ったり来たりすることはほとんど無くプラスかマイナスの期間どちらかにあることが多くなり逆正弦法則のイメージがつきやすいかと思います。
以上のようにこれらの法則が加味されてない売買システムは一見パフォーマンスが良いように見えたとしても、パフォーマンスが高い部分だけで検証されている可能性が大きいので注意が必要です。確率論的に優位性の裏付けを検証された売買システムであれば信用度が高いです。
実際にパフォーマンスの良いシステムを構築するには、マーケットの中から優位性のあるアノマリーを見つけそのポイントで売買を繰り返した場合の検証を地道にやる以外ありません。売買の判定に使う指標は特にこれが良いというものもありません。単純な移動平均とボリンジャーバンドの組み合わせでも問題はありません。優位性のあるポイントを捉えるようなストラテジーになっていることが要点となります。優位性のあるストラテジーを発見して運用することができればあとは試行を大きくすれば確立論統計の絶対法則が味方につくので収益はプラスに向かいます。次に実践編として検証及びシステム売買構築を紹介していきたいと考えてますが、長くなりますので、またの機会を予定をしておきます
参考文献

